入退室管理 / CPC DX支援
入退室管理と作業者の資格
誰がいつどの区域にいたかは、逸脱の調査でも、製造記録の確認でも参照されます。入室の可否を判定する仕組みと、記録として残す仕組みを一緒に設計します。
入室の記録は、あとから製造記録と突き合わせる
細胞培養加工施設向けに、入退室管理システムを開発しました。区域の構成も手順書も施設ごとに違うため、要件はそこを確認するところから決めます。
入退室の記録が必要になるのは、入室を制限するためだけではありません。逸脱や汚染の調査では、その時間帯に誰が区域にいたかを特定します。製造記録の実施者と突き合わせることもあります。紙の入室簿でも記録は残りますが、時刻の粒度が粗く、後から対象期間を絞って取り出すのに手間がかかります。
入室を判定するための機能
- 区域ごとに、入室できる担当者を決める
- 資格の有効期限が切れた担当者を通さない
- 権限の変更と、その承認を記録する
記録として残すための機能
- 入室・退室の時刻を担当者ごとに残す
- 同じ時間帯に在室していた人を取り出せる
- 入室前に実施した手順の記録と結び付ける
この2つは要件が違います。入室を止めることを重視すると機器側の設定が中心になり、記録として使うことを重視するとデータの持ち方と検索が中心になります。どちらを主目的にするかを先に決めます。
区域ごとに、入れる人の条件が違う
施設の中は、更衣の前後や清浄度によって区域が分かれています。同じ担当者でも入れる区域は異なり、条件も変わります。区域と条件の対応を先に一覧にすると、権限の設計がそのまま決まります。
| 区域 | 主な対象者 | 入室の条件の例 | 記録に残すこと |
|---|---|---|---|
| 一般区域 | 施設の従事者、来訪者、保守業者 | 施設の入館手続きを済ませている | 入館・退館の時刻、同行者 |
| 準備区域 | 作業者、立ち会う担当者 | 当該区域の教育訓練を修了している | 入室時刻、更衣・手洗いの実施 |
| 作業区域 | 訓練を修了した作業者 | 資格が有効で、当日の健康状態を確認済み | 入室・退室の時刻、同時に在室した人 |
| 保管区域 | 限られた担当者 | 個別に権限が付与されている | 入退室と、検体・製品の出し入れの対応 |
区域の呼び方も区分も、施設の手順書によって異なります。
入室の前に済ませる手順を、記録に含める
入室の可否だけを扱うと、更衣や手洗いといった手順が記録に残りません。逆に手順をすべて画面で確認させると、前室での作業が増えます。どこまでを記録の対象にするかは、施設の手順書と照らして決めます。
- 資格を確認対象区域の訓練修了と有効期限を判定
- 手順を実施更衣・手洗いなど、記録する項目を実施
- 入室担当者と時刻、扱うロットを記録
- 退室退室時刻を記録し、在室者を更新
区域内での操作を踏まえる
- 手袋を着けたまま認証できる手段を選ぶ
- 読み取り機と扉の位置を、動線に合わせる
- 持ち込む端末は清拭消毒に耐えるものにする
- 両手がふさがる場面での操作を想定する
入室者以外も記録する
- 保守業者・委託先の作業者の入室
- 見学者と、同行した施設側の担当者
- 一時的に権限を付与した場合の理由と期間
- 複数人が同時に入る場合の全員の記録
ログの使い道と、扉が開かないときの運用
入退室のログは、蓄積するだけでは使われません。どの場面で、どの単位で取り出すかを決めてから、保持するデータを設計します。あわせて、認証が通らないときに作業を止めない手順も必要です。
取り出す場面
- 逸脱や汚染の調査で、対象期間の在室者を特定する
- 製造記録の実施者と、入室の記録を突き合わせる
- 訓練の期限が近い担当者を、入室実績とあわせて確認する
- 外部の作業者が立ち入った期間を確認する
通らないときの運用
- 機器が故障したときの代替手順と、記録の残し方
- 非常時に解錠した場合の記録と、事後の確認
- 権限を一時付与する手続きと、解除の期限
- 記録が欠けた時間帯の扱いを決めておく
訓練の記録と作業できる範囲の結び付けは逸脱・変更・教育訓練の記録で、実施者を製造記録に残す設計は製造記録の電子化で扱います。区域の環境そのものの記録は環境モニタリングと設備データの収集をご覧ください。
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いま紙とExcelのどこに記録が残っているか、どの作業に時間がかかっているか。初回は業務の概要だけで構いません。製造記録や検体に関する情報の送付は不要です。