電子記録の要件 / CPC DX支援

電子記録の信頼性と導入時の検証

紙の記録が署名や訂正の形で担保していたことを、電子ではどう満たすか。監査証跡、権限、電子署名、バックアップと保存期間を決め、導入時の検証をどう進めるかを扱います。

紙の記録が満たしていたことを、電子でどう満たすか

紙の記録では、署名・押印・二重線での訂正といった形で、誰が書き、誰が確認し、どこを直したかが自然に残っていました。電子に移すときは、同じことを機能として決めておく必要があります。決めていない項目は、あとから記録を見ても分からない部分として残ります。

紙で担保していたことと、電子での決めごとの対応例
担保したいこと決めること記録に現れる形
誰が記録したか利用者を個人ごとに発行し、共有の利用者を作らない入力・確認の操作に担当者が紐付く
いつ記録したか時刻をどこから取るか、機器と同期させるか入力の時刻が記録側で確定する
どこを直したか変更前の値・変更者・時刻・理由を残し、消去できないようにする訂正の経緯を後から追える
誰が承認したか署名の意味(作成・確認・承認)と、署名時の再認証承認の種別と担当者が記録に残る
読み出せること保存期間、バックアップ、人が読める形での出力保管期間を通じて記録を提示できる

どの記録を電子で保存できるかは、施設に適用される基準と施設内の規程によって決まります。

検証は、使う場面をもとに組み立てる

導入時の検証では、機能が仕様どおり動くことに加えて、実際の手順で使ったときに記録が正しく残るかを確認します。確認した内容と結果は、後から参照できる形で保管します。

  1. 要件を書き出す対象の記録、利用者、残すべき項目を確定
  2. 設計を確認する画面・権限・保存先が要件を満たすか照合
  3. 動作を確認する正常系に加え、誤入力と中断の場合を試す
  4. 運用で確認する実際の手順に沿って通しで実施し記録を確認
範囲と深さは、対象の記録と施設の規程によって決めます。

正常系以外で確認すること

  • 入力の途中で端末が切れたときの記録の状態
  • 必須項目を空のまま進めようとした場合の動き
  • 権限のない利用者が操作しようとした場合
  • 同じ記録を2人が同時に編集した場合

検証で残す記録

  • 確認した項目と、判定の基準
  • 実施した日時、実施者、使用した環境
  • 結果と、問題が出た場合の対応
  • 承認した担当者と日付

導入したあとに続ける確認

検証は導入時で終わりません。人の入れ替わり、手順書の改訂、機器の更新のたびに、記録の残り方が変わる可能性があります。定期的に確認する項目を決めておきます。

定期的に確認する

  • 利用者と権限の一覧を棚卸しし、退職者を無効にする
  • バックアップから実際に復元できるかを試す
  • 機器とシステムの時刻がずれていないかを確認する
  • 変更を適用した記録が残っているかを確認する

止まったときに備える

  • 紙に戻す手順と、使用する様式を決めておく
  • 復旧後に、紙の記録をどう取り込むかを決める
  • 連絡する相手と、判断する担当者を明記する
  • 停止していた期間そのものを記録に残す

医療機関の中に設置された施設では、院内のネットワークと情報システムに関する規程も関係します。接続の可否と条件は、施設の情報システム担当者と確認しながら決めます。

紙と併用する期間を、あいまいにしない

移行の途中では、紙と画面の両方に記録が存在する期間が生まれます。どちらを正式な記録として扱うかを決めないまま進めると、二重に記入する作業が定着し、内容の食い違いが起きたときに判断できなくなります。

先に決めること

  • 記録ごとに、正式な記録をどちらにするか
  • 併用する期間と、切り替える日
  • 切り替え前の紙の記録の保管方法
  • 移行期間中に監査・査察があった場合の提示方法

段階的に進める

  • 対象のロットや工程を限って開始する
  • 入力にかかる時間と、修正の発生を記録する
  • 作業者からの指摘を集め、様式と画面を調整する
  • 問題がなければ範囲を広げる

記録の様式そのものの設計は製造記録の電子化、変更を管理する流れは逸脱・変更・教育訓練の記録で扱います。

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