製造記録 / CPC DX支援

製造記録の電子化

紙の製造指図記録書を画面に置き換えるときは、記録の単位、実施者と確認者、逸脱の記載、監査証跡の残し方を先に決めることになります。細胞培養加工施設の製造記録を電子化するときの検討項目です。

紙の様式をそのまま画面にしない

製造指図記録書は、複数の工程をまとめて1枚の様式にしていることが多くあります。これをそのまま1画面にすると、作業のたびに長い画面を上下に探すことになり、かえって入力が遅くなります。

電子化するときは、作業者が実際に手を止めるタイミングで記録の単位を切ります。工程の開始と終了、機器への出し入れ、中間確認など、区切りの単位を先に決めてから画面を組み立てます。

  1. 指図を作る

    ロット番号、使用する手順書の版、計画数量を確定し、承認を受けた状態で作業者に渡します。

  2. 工程ごとに記録する

    作業の区切りごとに、実施時刻・実施者・使用した物・機器を記録します。予定と異なった点はその場で残します。

  3. 確認する

    実施者とは別の担当者が確認する工程を指定し、確認した内容と時刻を記録に残します。

  4. 照査して保管する

    ロット単位で記録が揃っているかを確認し、欠けている項目を洗い出したうえで保管します。

工程の区切り方は、施設の手順書によって異なります。

記録項目ごとに、電子化で決めることが変わる

同じ「製造記録」でも、あらかじめ決まっている項目、作業中に発生する項目、確認の結果として残る項目では、入力の方法も権限も変わります。項目を区分して整理しておくと、画面と権限の設計がそのまま決まります。

記録の区分ごとに決める内容の例
記録の区分項目の例電子化するときに決めること
指図ロット番号、製造日、手順書の版、計画数量、指図の承認者手順書の版をどう参照させるか。承認前の指図で作業を始められないようにするか
作業の実施工程の開始・終了時刻、実施者、使用した機器、培養条件時刻をシステムの時計から取るか手入力にするか。機器を識別子で選ぶか
使用した物細胞・培地・試薬・資材のロット、使用量、有効期限ロットの選択方法。期限切れや未受入のロットを選べないようにするか
確認中間確認の結果、確認者、照査の記録実施者と確認者を別の利用者に限定するか。確認の単位をどこに置くか
逸脱・特記予定と異なった内容、その場の対応、影響の評価どの画面から起票するか。製造記録とどう紐付けるか

実際の項目は、施設の様式に合わせて置き換えます。

予定どおりに進まなかったことを、その場で残せるようにする

逸脱を後から別の様式に書く運用では、製造記録との対応付けが人の記憶に頼ることになります。作業画面から起票できるようにして、どのロットのどの工程で起きたかを記録側で保持します。

その場で残す内容

  • 発生した工程と時刻、気づいた担当者
  • 予定していた内容と、実際に行った内容
  • その場で行った処置と、報告した相手
  • 対象となるロットと検体の範囲

あとから追記する内容

  • 原因の調査結果と、製品への影響の評価
  • 是正処置・予防処置の内容と担当者
  • 手順書や様式を変更した場合はその記録
  • 完了の判断を行った担当者と日付

起票した内容と後から追記した内容は、上書きせずに履歴として残します。逸脱の管理そのものについては逸脱・変更・教育訓練の記録で扱います。

清浄区域で使える入力にする

作業区域では手袋を着けたまま操作することになり、持ち込める機器にも制限があります。入力の負担を減らす工夫と、記録の正しさを保つ仕組みは分けて考えます。

入力の負担を減らす

  • 選択肢とバーコード読み取りを中心にし、文字入力を減らす
  • 手袋のまま押せる大きさで操作部分を配置する
  • 区域に持ち込む端末は、清拭消毒に耐えるものを選ぶ
  • 通信が切れても入力を続けられるようにする

記録の正しさを保つ

  • 入力の時刻をシステム側で記録する
  • 後から修正した場合は、変更前の値と理由を残す
  • 必須項目が空のまま工程を完了できないようにする
  • 誰が入力・確認したかを利用者単位で記録する

電子で残した記録をどう扱うかについては、電子記録の信頼性と導入時の検証で整理しています。

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